
こんにちは、みなとです
薬学生から届く質問で多いものの1つに計算問題があります


そこで今回は計算問題の中でも有効数字に注目して解説していこうと思います
解説だけでなくアウトプットもできるように練習問題も用意しました
- 有効数字とは
- 有効数字を考慮した加法減法(足し算、引き算)
- 有効数字を考慮した乗法除法(掛け算、割り算)
- 練習問題

目次
有効数字とは
まず、そもそも有効数字とはどういったものなのでしょうか?
有効数字(ゆうこうすうじ; 英: significant figures/significant digits)とは、測定結果などを表す数字のうちで、位取りを示すだけのゼロを除いた意味のある数字である。
引用:日本産業規格 分析化学用語(基礎部門) JISK0211. 日本産業標準調査会. (2013/3/21)


ポイントは赤字で示した『意味のある数字』というところです
有効数字とは、測定や調査で計測できた意味のある数値のことをいいます
例を挙げて説明します
【例】お金を数える
みなとの財布の中身を調査してみましょう


うげぇ、小銭が多すぎて数えられないよ!なんか変なメダルも混ざってるし!
めんどくさい!返す!
子ペンギンくんは1万円札が3枚あるところは正確に数えましたが、小銭(主に10円玉以下とします)の数に気が滅入って諦めてしまいました。
万の位は1万円札を正確に3枚数えたので3という数字は信頼できる数字ですね。
千の位は1000円札の枚数は2枚ですが、小銭をかき集めたら1000円くらいあるかもしれないので誤差を含む数字です。
小銭は数えていないので百の位〜一の位の3桁は数えていない完全に曖昧な数字ということになります。
さて、今回のケースでは何が有効数字で、有効数字は何桁になるのでしょうか?
有効数字は、測定できた意味のある数字のことでしたね?
まず万の位の3はしっかり数えることができていますのでとても信頼できる意味のある数字と言えます。
次に千の位の2は誤差を含むかもしれませんが、ある程度は信頼できるので意味のある数字と言えます。
最後に百の位〜一の位は完全に曖昧な曖昧な数字なので全く信頼できない数字と言えます。

上記をまとめると、意味のある数字は万の位の3と千の位の2なので有効数字は3と2で、桁数は2桁ということになります。
そして、有効数字を考慮する場合、有効数字のみを記載し、それ以外の曖昧な数字は記載してはいけないことになっています。
よって、有効数字を考慮する場合、みなとの財布の中身は3万2千円ということになります
なぜ有効数字を考えるのか


先程、子ペンギンくんはお金を数えるのを途中で諦めてしまいましたね
百の位から一の位は非常に曖昧なので書いてはいけませんでした
それでは逆に、一の位まで書いてある数字にはどんな意味があるのでしょうか?
それは、お金の数をきっちり一の位まで数えてあることを意味します
では、ルールを無視してしっかり数えていないのに勝手に有効数字を増やしてしまったらどうなってしまうのでしょうか?
ここでは仮に32560円とします
このとき、百の位から一の位の560円は数えていないのに当てずっぽうで勝手に決めた数字なので当然正確な数字とは違いが生じてしまいます。すると...


このように、認識の違いからトラブルになってしまいます。
しかし、有効数字を意識して、曖昧な部分は曖昧なまま3万2千円と報告した場合は...

と認識してもらえるわけです。
このように、「この値はここまで正確に測りましたよ」ということを他者に伝えるために有効数字を意識しなければならないのです。
有効数字を考慮した加法減法
次に、有効数字を考慮した加法と減法について解説します
加法減法のルール
計算結果は、有効数字の最小位がもっとも大きいものに合わせる
※有効数字の最小位とは有効数字のうちで最も小さい位のこと
例)9.56なら少数第2位が最小位

計算手順を例題を使って説明します
有効数字の加法減法③ステップ
有効数字を考慮した場合、次の計算結果はいくつになるか?
3万2千(3.2×10000) + 21743
ステップ①:それぞれの最小位を比較し、位の大きい方を採用する
3万2千→千の位 21743→一の位
よって千の位を採用
ステップ②:とりあえず計算をする
3万2千 + 21743 = 53743
ステップ③:①で採用した位までになるように一つしたの位を四捨五入する
53743 → 5万4千
では、なぜそうなるのかを先程の例題を使って考えてみましょう
有効数字の加法はなぜ最上位が最大のものに合わせるのか?
有効数字を考慮した場合、次の計算結果はいくつになるか?
3万2千(3.2×10000) + 21743

小学生でもできるじゃん!

さては子ペンギンくん寝とったな?
3万2千(3.2×10000)は有効数字2桁で、百の位から一の位までは曖昧な数字であることを示しています
21743は万の位から一の位までしっかり調べた有効数字5桁の数字であることを示しています
これらを足し合わせた時どのようなことが起こっているのでしょうか?
3万2千(3.2×10000)の曖昧な位を?で表して計算してみましょう

図のように、21743のうち、743の部分は曖昧な数字と足し合わされてしまっています

7+?はいくつかな?
ちなみに?は0〜9のどの数字が来るかわからないよ

なるほど、もともとは正確な数字でも曖昧な数字と合わさってしまったら曖昧な意味のない数字になってしまうんだね!
743は???と足し合わさって曖昧な意味のない数字に変わってしまいました
さて、有効数字を考慮した場合、曖昧で意味のない数字は結果から削除しなければいけません
曖昧で意味のない数字のうち、もっとも位が大きい数字を四捨五入して消去します
よって正解は5万4千(5.4×10000)ということになります
このように、曖昧な位は意味のない数字になってしまうので、有効数字の最小位がもっとも大きいものに合わせる必要があります
有効数字を考慮した乗法除法
次に有効数字を考慮した乗法・除法について解説します
有効数字の乗法除法のルール
計算結果は、有効数字の桁数がもっとも小さいものに合わせる
例題を用いて手順を解説します
有効数字の乗法除法③ステップ
有効数字を考慮した場合、次の計算結果はいくつになるか?
2.55 × 0.65
①:有効数字の桁数を比較し、小さい方を採用する
2.55→3桁 0.65→2桁
よって2桁を採用
②:とりあえず計算をする
2.55 × 0.65 = 1.6575
③:①で採用した桁数になるように一つ小さい位を四捨五入する
1.6575 → 1.7
ここでも先程の例題を用いて考え方を解説します
有効数字の乗法除法はなぜ最小桁数に合わせるのか
有効数字を考慮した場合、次の計算結果はいくつになるか?
2.55 × 0.65
ここで解説のためにひとつ工夫を加えます
それぞれの数字には、有効数字の後ろに曖昧な数字が隠れているはずなので、今回はわざとそれを?で表して計算してみます
2.55?×0.65?ということですね
それでは実際に計算してみましょう

足し算の時を思い出してください
曖昧な数?と足された数は曖昧になってしまうんでしたよね
よって?と足し合わされた結果である575は曖昧な意味のない数字なので消去します
少数第2位の5を四捨五入して、正解は1.7となります
このように掛け算・割り算では有効数字の桁数が最も小さい数字の桁数しか正確な数字が残りません
よって、計算結果は、有効数字の桁数がもっとも小さいものに合わせる必要があります
有効数字の計算の例外
定数は有効数字を無限大とする

これらの合計金額はいくつかな?


今回の2のような定数は有効数字を無限大として考えるんだ
2という数字はきっちりとした数字のはずだからね
財布が2.1個とかありえないでしょ?
このように、定数を扱う場合、定数はきっちりとその数字を表すので、定数の有効数字は無限大とします。
練習問題
有効数字を考慮した場合、次の計算結果はいくつになるか?
① 91.25 + 0.3531
② 1.231 + 0.32132
③ 1.020 × 6.10
④ 1.020 × 0.1(定数)
有効数字を考慮した場合、次の計算結果はいくつになるか?
① 91.25 + 0.3531 = 91.60
加法なので有効数字の最小位が最も大きいものに合わせる
二つの数字の最小位を比較すると…
91.25は少数第2位 0.3531は少数第4位
よって91.25の最小位が少数第2位で最も大きいので結果は有効数字を少数第2位までにする
② 1.231 + 0.32132 = 1.552
加法なので有効数字の最小位が最も大きいものに合わせる
二つの数字の最小位を比較すると…
1.231は少数第3位 0.32132は少数第5位
よって1.231の最小位が少数第3位で最も大きいので結果は有効数字を少数第3位までにする
③ 1.020 × 6.10 = 6.22
乗法なので有効数字の桁数が最も小さいものに合わせる
二つの数字の最小位を比較すると…
1.020は4桁 6.10は3桁
よって6.10の3桁が最も小さいので結果は有効数字を3桁とする
④ 1.020 × 0.1(定数) = 0.1020
定数は有効数字を無限大とする(定数は完全にピッタリその数字、曖昧さ無し)
よって1.020の4桁が最小になるので結果は有効数字4桁とする
まとめ
以上有効数字について以下の点を解説してきました
- 有効数字とは
- 有効数字を考慮した加法減法(足し算、引き算)
- 有効数字を考慮した乗法除法(掛け算、割り算)
- 練習問題
有効数字とは、測定や調査で計測できた意味のある数値のこと
どこまで正確に測定したかを表すために使う
計算結果は、有効数字の最小位がもっとも大きいものに合わせる
※有効数字の最小位とは有効数字のうちで最も小さい位のこと
例)9.56なら少数第2位が最小位
有効数字を考慮した場合、次の計算結果はいくつになるか?
3万2千(3.2×10000) + 21743
ステップ①:それぞれの最小位を比較し、位の大きい方を採用する
3万2千→千の位 21743→一の位
よって千の位を採用
ステップ②:とりあえず計算をする
3万2千 + 21743 = 53743
ステップ③:①で採用した位までになるように一つしたの位を四捨五入する
53743 → 5万4千
計算結果は、有効数字の桁数がもっとも小さいものに合わせる
有効数字を考慮した場合、次の計算結果はいくつになるか?
2.55 × 0.65
①:有効数字の桁数を比較し、小さい方を採用する
2.55→3桁 0.65→2桁
よって2桁を採用
②:とりあえず計算をする
2.55 × 0.65 = 1.6575
③:①で採用した桁数になるように一つ小さい位を四捨五入する
1.6575 → 1.7
以上、みなとでした