先日、こんな質問をいただきました


手応えがないのに点数が高かった場合、今回は偶然よくできただけで本番は全然できないのではないか?と不安になってしまいますよね
そんな時は模試の期待点数を調べて模試の結果を評価することをおすすめします


今回は以下の内容で模試の結果の評価方法を解説していきます
- 期待点数とは
- 期待点数を調べる意味
- 期待点数の調査方法

期待点数とは

期待点数とは、あなたの模試の点数の期待値です
模試を受けると「今回はカンが冴えていた!」「今回は2択を外しまくった…」のように調子がいい時、悪い時があると思います
期待点数は調子のいい時・悪い時・普通の時を全て平均した、あなたが普通の調子なら大体このくらい取れるでしょう!という点数を教えてくれます
期待点数を調べる意味

薬剤師国家試験はマーク式の試験です
そして出題形式は以下のものがほとんどです
- 5つの中から1つ選べ
- 5つの中から2つ選べ
つまり、薬学の知識が全くない人が解いても、運が良ければ正解することができます
そして薬学生であるあなたの場合に当てはめた場合、わからない問題でも運が良ければ正解することができてしまいます
皆さんも「今回は2択まで絞れたところがかなり当たってた!ラッキー!」なんて経験ありませんか?
この運が良ければ正解してしまうテストの仕組みが、手応えがないのに点数が高くなってしまう現象の原因というわけです
逆に、運が悪ければ実力より低い点数になってしまうこともあります
そんな薬剤師国家試験の模試で、結果が実力通りか判断するには
・平均的な運が発揮された場合は何点か?
・今回は運が良かったのか?運が悪かったのか?
これらを判断する必要があります。
そのために使用するのが期待点数で、期待点数は平均的な運が発揮された場合の点数を表す指標です。
つまり、期待点数は実力通りの点数、真の点数ということです

でもどうやって求めればいいんだ…

期待点数の求め方
期待点数を求めるためには、数学の期待値についておさらいする必要があります
期待値は以下の式で求めることができます
期待値 = 当選したら得られる数値 × 当選する確率
薬剤師国家試験の場合、全ての問題で配点は1点なので、当選したら得られる数値は1点です
また、当選する確率は問題に正解する確率のことなので各問題の期待点数の式は以下の通りです
問題ごとの期待点数 = 1 × 正解する確率

正解する確率について(1つ選べ問題)
正解する確率は、各問題を何択まで絞れたかで判断します
まずは「〇〇のうちから1つ選べ」形式の問題について例を使って計算してみましょう
メチルラジカルの炭素が形成する混成軌道はどれか、1つ選べ
- sp混成軌道
- sp2混成軌道
- sp3混成軌道
- 混成軌道を形成しない

子ペンギンくんは正解を2か3のどちらか、つまり2択まで絞れたことになります
あとは適当に選んでも2回に1回は正解しますから正解する確率は1/2になります
よってこの問題の期待点数は1/2点です
ちなみに自信を持って正解を選ぶことができた場合、正解する確率は1(期待点数1点)
3択までは絞れた場合は正解する確率1/3(期待点数1/3点)
全く絞れなかった場合は正解する確率1/4(期待点数1/4点)となります
正解する確率について(2つ選べ問題)


2つ選ぶタイプの問題はどのように計算するのでしょうか?
実はこのタイプはさらに以下の2パターンに分ける必要があります
- 正解の選択肢が1つわかった場合
- 正解の選択肢が1つもわからない場合
まずは正解の選択肢が1つわかった場合です
「A、B、C、D、Eの中から2つ選べ」(正解はAとB)のような問題で、AもしくはBが正解だとわかった場合ですね
その場合は残った選択肢から正解を1つ選べば良いので以下の例のように計算します
- Aが正解、CとDが不正解なことがわかっている場合→BとEの2択なので正解率1/2
- Aが正解、Cが不正解なことがわかっている場合→B、D、Eの3択なので正解率1/3
- Aが正解であることのみわかっている場合→4択なので正解率1/4
「A、B、C、D、Eの中から2つ選べ」(正解はAとB)のような問題で、正解の選択肢が1つもわからなかった場合ですね
この場合は高校数学の組み合わせの知識が必要になりますので、苦手な人は拒絶反応を起こすかもしれませんね
全パターンの例をあげますので参考にしてください
- 全ての選択肢がわからない場合→5つの中から2つえらぶ(5C2)→正解率1/10
- Cが不正解であることだけわかる場合→4つの中から2つ選ぶ(4C2)→正解率1/6
- C、Dが不正解であることがわかる場合→3つの中から2つ選ぶ(3C2)→正解率1/3
- C、D、Eが不正解であることがわかる場合→正解しか残っていない→正解率1
全体の期待点数を求める

全ての問題の期待点数を調べたよ

各問題の期待点数を調べたら、全ての問題の期待点数を合計しましょう
ここでもとまった点数が、あなたが平均的な運を発揮した場合に取ることができる、実力通りの点数になります
いかがだったでしょうか?
期待点数が実際の点数よりも高かった人は、今回の模試は運が悪かっただけなので落胆する必要はないでしょう
逆に期待点数が実際の点数よりも低かった人は、今回の模試が偶然高得点だった可能性があるので気を引き締める必要がありそうです
まとめ
以上、今回は模試の結果の評価方法としての期待点数に関して以下の内容を解説しました
- 期待点数とは
- 期待点数を調べる意味
- 期待点数の調査方法
期待点数とは、平均的な運が発揮された時の模試の点数を表すもの
薬剤師国家試験は選択式なので運で正解できてしまう
模試の結果は幸運で偶然高得点になる可能性もあるので、模試の結果の評価には運が良くも悪くもなく、平均的な時にどれくらいの点数が取れるかを知る必要がある
それに使うのが期待点数で、真の実力値と言える
期待点数 = 1 × 正解する確率
各問題で期待点数を求めたら全てを合計する
