「どの薬学部に進学したらいいんだろう?」
薬学部を目指す際にどこの大学の薬学部に進学するのがよいのか迷っていませんか?
現在日本には70以上の薬学部がありますから、迷ってしまうのも無理ないです。
そこで参考多くの方が、薬剤師国家試験の合格率を参考にするのではないでしょうか?
大学のパンフレットを見てみると
「薬剤師国家試験合格率80%!」
のように宣伝されていますから参考にしやすいですよね。
しかしこの合格率のデータ、本当にそのまま参考にしてよいのでしょうか?
国家試験合格率80%の薬学部は本当にすごいのでしょうか?
結論はNO!大学が宣伝に使っている合格率データを鵜呑みにするのは危険です。
真の合格率よりも見かけ上、高い合格率が示されている可能性があります。
今回はその理由と真の合格率の求め方を、薬学部の裏側にすこし触れながら解説していきます。
目次
騙されるな!薬剤師国家試験の合格率に潜む罠
多くの大学で行われている合格率の水増し
見出しのとおりですが、多くの大学で国家試験合格率の水増しが行われています・
どれくらい行われているかといえばほぼ常識レベルで行われています。
その程度は大学によって異なりますが、見かけの合格率がなんと50%も増加している大学もあるくらいです。
それではどのような仕組みで合格率の水増しを行っているのでしょうか?
それは秋卒業または卒業延期と言われるシステムが関わっています。
秋卒業・卒業延期とは?
では秋卒業・卒業延期とはどのようなシステムなのでしょうか?
簡単に説明すると、国家試験に合格できなさそうな学生には国家試験を受けさせないシステムです。
多くの薬学部では6年時に卒業試験が行われます。
この試験で成績が悪い学生の卒業を延期させることで、国家試験に合格できそうな学生だけが国家試験を受験するため合格率が向上します。
ここで
「え?でも成績の悪い学生が留年するのって当たり前のことじゃない?」
と思う方もいるかもしれません。
ここでポイントになるのが秋卒業・卒業延期である点です。
卒業試験に落ちた学生はどうなるかというと、来年度の秋に卒業します。卒業が1年遅れることはまずありません。
これらの学生は秋の時点で卒業しているので、新卒ではなく既卒扱いとなります。
すると成績不良者は必ず”既卒”で国家試験を受験することになるので、各学校の”新卒”合格率には影響を与えません。

なので水増し可能なのは合格率の中でも”新卒”合格率に限るのですが、宣伝では”新卒”合格率がよく使われます。
こういった手法により、宣伝に使われる合格率は真の合格率よりも見かけだけ高くなっている可能性があります。
正しい薬剤師国家試験合格率の見分け方
出願者と受験者の人数を確認する
薬剤師国家試験の学校別合格率は毎年厚生労働省のホームページに掲載されます
105回薬剤師国家試験 大学別合格者数(厚生労働省より)
このデータの中で注目してほしいのが出願者数と受験者数の差です。
これが水増しのために卒業試験で落とされた学生の数を表します。
薬剤師国家試験の願書提出は6年生の12月に行います。
出願者数と受験者数の差は、12月に願書を提出したのに、2月の国家試験を受験しなかった人数を表しています。
つまり、国家試験の3ヵ月前に受験する気満々だった学生が国家試験を受験しなかったことになります。
数人であれば体調不良などの理由も考えられますが、数十人となればその可能性は低いですよね。
卒業試験で落ちたために卒業ができず、受験できなかったと予想できます。
”出願者数−受験者数”が多い大学ほど見かけの合格率が高くなっているので注意しましょう。
逆に、”出願者数−受験者数”が少なく、合格率も高い大学はおすすめできます。
まとめ 正しいデータの見方で正しい大学選びをしましょう
近年の薬学部の増設とそれに対する少子化などの影響で薬学部も学生獲得に必死です。
その一環として水増しされた新卒合格率が宣伝されることもあります。
気になる大学があっても、その宣伝を鵜呑みにせず、一度「出願者数-受験者数」を計算してみてください。
本記事を、より良い大学選びに活用していただけると幸いです。